「空の境界」は、ゲームブランドTYPE-MOON所属のシナリオライター奈須きのこ先生原作・武内崇先生挿絵の長編伝奇小説です。1998年に同人作品として発表されて以来、文庫版、劇場版アニメ、コミックス、ドラマCDなど様々なメディアミックス展開がされています。
私たちの住む現代の日本の都市を舞台に、現実の常識から大きく離れた怪奇、魔術の関わる事件を描いており、独特の世界観を持った作品となっています。そのことから、今なお高い人気を持ち続けており、奈須きのこ先生の代表作とも評されています。
今回はそんな「空の境界」の魅力について詳しく紹介していきます。
ぜひご覧ください。
空の境界(らっきょ)とは
(出典:アニメイトタイムズ)
「空の境界」は、奈須きのこ先生原作・武内崇先生挿絵の長編伝奇小説です。
現在大人気のソーシャルゲーム「Fate/Grand Order」や、その他「Fate」シリーズ・「月姫」などの作品のシナリオを手掛けた奈須きのこ先生の代表作とも言われています。
そんな「空の境界」について、まず概要を紹介していきます。
ストーリー
「空の境界」の舞台は1990年代、東京都内の架空の都市「観布子市(みふねし)」です。ある事故をきっかけに、少女・両儀式(りょうぎしき)は、 2年間の昏睡状態に陥ります。彼女は目覚めたとき、モノの“死”が視える力「直死の魔眼(ちょくしのまがん)」を体得していました。
異常な力を手に入れた両儀式と、彼女の高校時代のクラスメイト「黒桐幹也(こくとうみきや)」、および彼女達の周辺の人間が、常識を超えた怪奇的な事件に出会い、巻き込まれていく物語です。
空の境界の読み方
「空の境界」は「からのきょうかい」と読みます。
「からのきょうかい」からとって「らっきょ」という愛称がつけられています。
「」の読み方
「空の境界」作中の重要な言葉として、「」という言葉があります。
「」と表記して「から」と読みます。
作中では、触れると世界の全てを知ることができると言われる「根源」に近いものとして描かれています。式は昏睡している最中に、「」にふれたことで、「直視の魔眼」を手に入れたとされています。
式の「直視の魔眼」「3つめの人格」に関わる重要な概念であり、「空の境界」のラスボス的存在・荒耶宗蓮の行動の目的でもあります。
作中
奈須きのこ(型月)が原作担当
(出典:4gamer)
「空の境界」は、「Fate/stay night」をはじめとするFateシリーズのシナリオライター奈須きのこ先生が原作を手掛けています。挿絵は、同じくFateシリーズのイラスト・キャラクターデザインを手掛けている武内崇先生が担当しています。
二人は同じゲームブランド「TYPE-MOON」に所属しており、TYPE-MOONで制作された別作品「Fate」シリーズ・「月姫」にもメインスタッフとして参加しています。
そのためか、「空の境界」と「Fate」シリーズ・「月姫」には、世界観や設定、キャラクターに多くの繋がりや共通点がみられます。TYPE-MOON作品特有の設定と世界観、キャラクターに魅力を感じる人は非常に多く、ファンからは「型月」という愛称をつけられ愛されるブランドとなっています。
より「空の境界」の世界を楽しみたい方は、ぜひ「Fate」シリーズ・「月姫」にもふれてみてください。
Fateとのつながり
(出典:ニコニコ静画)
直接は登場しませんが、「Fate/stay night」では蒼崎橙子らしき女性についての描写があります。ゲーム「Fate/EXTRA」では両儀式と蒼崎橙子が、ソーシャルゲーム「Fate/Grand Order」では両儀式と浅上藤乃がゲスト出演しています。
月姫とのつながり
(出典:iPhone壁紙)
「月姫」の主人公・遠野志貴は、「直死の魔眼」という、両儀式の能力と似た能力を持っています。また「月姫」に登場する蒼崎青子は、本作に登場する蒼崎橙子の妹にあたります。
空の境界が面白い5つの魅力
「空の境界」の魅力を、5つにわけて紹介していきます。
1.主人公・両儀式の圧倒的な魅力
(出典:コラボカフェ)
本作の最大の魅力は、主人公・両儀式のキャラクターです。男性的な口調で話し、「直視の魔眼」で迷うことなく相手を切る式の姿は凛々しく、とてもかっこいいです。
式の魅力は強さだけではありません。第5章「矛盾螺旋」の最後にて、彼の部屋の鍵をくれるようねだるシーンなど、不器用ながらも憎からず思っている幹也に気持ちを示すときもあり、普通の女の子のようでかわいいです。
また、非常に達筆であったり、料理が得意であるなど良家の子女であることを感じさせる意外な一面も持っています。
2.常識を超えた魔術・怪奇の数々
(出典:3章)
女子高生の連続飛び降り事件、体のいたるところがねじきられた死体、再び起き始めた連続殺人事件…本作では凄惨で常軌を逸した事件が次々と起きます。物語を一度見て全てを理解するのは難しいですが、難解な事件を解決していく様子は目を奪われます。
また本作には、後にTYPE-MOONで制作された「月姫」や「Fate」シリーズ、「魔法使いの夜」でも登場する用語や設定、人物が多数あり、作品同士のつながりを感じさせます。
近年になってTYPE-MOON作品を知った人は、「空の境界」にふれることで、TYPE-MOON作品の世界をより深く理解することができるでしょう。
3.直視の魔眼
(出典:atwiki)
主人公・両儀式は2年間の昏睡状態から目覚めたあと、モノの「死」を見ることができる能力を身につけます。それが表題の能力「直視の魔眼」です。
モノの寿命を線のような情報として目で見ることができ、見えた線をなぞって斬ると、斬られた対象は死亡します。この能力のため、式は相手が人間でも、実体を持たない霊や生きていない機械であってもバラバラに切り、倒すことができるのです。
どんなに強大な相手でも臆せずに戦い、「直視の魔眼」で打ち破る式の姿は非常にかっこよく、誰もが憧れてしまうでしょう。
4.式と幹也
(出典:Twitter)
物語の主人公である両儀式と、友人である黒桐幹也の関係性も、本作の大きな魅力の一つです。高校生のときにはじめて出会ってから、幹也は強く式に惹かれています。
どんなときも献身的に式を支え、最後には式の犯した罪をも共に背負うことを決めてしまいます。幹也の強い愛は、見るものを圧倒させてしまいます。一方で式も、特殊な事情を持つ自身のそばにいてくれた幹也のことを、大切に想っています。
不器用な式はあまり表には出しませんが、幹也のことを気にかけている描写がいくつも見られます。二人の関係はどうなるのか、本作の大きな見どころとなっています。
5.魅力的なヒロインたち
(出典:駿河屋)
幹也の持つ不思議な魅力は、式だけでなく多くの女の子を惹きつけます。主人公の両儀式はもちろん、幹也の実の妹である黒桐鮮花、第3章で登場する浅上藤乃、「未来福音」で出会う瀬尾静音など、幹也に想いを寄せるヒロインは何人もいます。
決して一筋縄ではいかない性格の女の子ばかりですが、幹也を慕う姿はかわいらしいです。作中では式たちと対立していますが、第1章で登場する巫条霧絵、第6章で登場する黄路美沙夜も、倒すべき相手だけには収まらない魅力を持っています。
各章に登場する魅力的な女の子たちも、「空の境界」の魅力です。
アニメ空の境界の観る順番?時系列順に解説
2020年現在までに、7章のエピソードと5章の番外編が発表されています。各章はそれぞれ別の事件を描いた物語ですが、全ての事件を繋げる黒幕が存在しています。章にはそれぞれ番号が振られていますが、時系列とは必ずしも一致していません。ときには時系列が大きく前後することもあり、ストーリーの理解を難解にしています。
以下に時系列順に紹介しますので、参考にしてください。
第2章「殺人考察(前)」
(出典:dアニメストア)
1995年3月~1996年9月までの間の物語です。
1995年3月の雪が降る日、幹也が初めて式に出会うところからはじまり、4月に再会した式と幹也の高校生活を描写しています。幹也と親しくなる内に、式は自身の持つ殺人衝動と、幹也を殺害したくないという気持ちの間でゆれ動くようになります。次第に、式が内面に持つ別人格“織”とも心のすれ違いが生まれ、式は“織”の行動を把握できなくなります。そんな式の葛藤と同時期に、連続猟奇殺人事件が起こりはじめます。犯人として式が疑われていることを心配した幹也は、ある行動に出ます。
式と幹也の出会い、式の別人格“織”など重要な要素が登場するエピソードです。
また名前は出てきていませんが、第7章「殺人考察(後)」の重要人物・白純里緒が登場しています。このときの里緒の発言は、彼と第2章で起きた連続猟奇殺人事件の関連をほのめかすものとも考察されています。
第4章「伽藍の洞」
(出典:ナガケン)
1998年6月の物語です。
第2章のラストで、式はある事故に遭い、一命は取り留めますが昏睡状態に陥ってしまいます。
2年後、式は奇跡的に回復し目覚めますが、彼女はモノの「死の線」が見える能力「直視の魔眼」を獲得していました。自身の視界に映る風景に戸惑い、目を潰そうとした式を、一人の女性が制止します。その女性は「魔術師」蒼崎橙子と名乗り、その眼の使い方を教えると言います。そして同時に、式の別人格である“織”が消滅していることを指摘しました。
式が自身の代名詞ともいえる能力「直視の魔眼」を習得するエピソードです。
この章での式は、別人格“織”との別れを経験したことで、喪失感でいっぱいになっています。しかし、代わりに身につけた異常な能力「直死の魔眼」を受け入れ戦うことを決意します。そんな式の凛々しい姿が魅力的なエピソードです。
“織”が消滅した詳細な理由は、第7章で明らかになります。
第3章「痛覚残留」
(出典:dアニメストア)
1998年7月の物語です。
体がねじ切られたように傷ついている変死体がいくつも見つかるという、猟奇殺人事件が発生します。式はその事件の犯人の保護、あるいは殺害を請け負います。
犯人は、猟奇殺人事件の被害者たちに性的暴行を受けていた少女・浅上藤乃でした。彼女は暴行を受けたことをきっかけに、視界の中のものを曲げる能力「歪曲」を得ていました。自身を暴行した人間を殺害した後も、藤乃は殺人を繰り返すようになります。
式は彼女の暴走を止めるため、戦いに挑みます。
殺人行為に快楽を感じる藤乃との戦いを通して、式の持つ殺人への考え方、幹也の持つ「人が犯した罪」への考え方が描かれる章です。この描写は、第7章「殺人考察(後)」ラストの展開の伏線となっています。
式はこの戦いで左手を失い、以後は義手をつけています。
第1章「俯瞰風景」
(出典:dアニメストア)
1998年8月~9月の間の物語です。
式たちの住む観布子市で、少女が飛び降り自殺をする事件が多発します。自殺した少女たち8人の共通点は、取り壊しの決まっている廃ビル「巫条ビル」から飛び降りているという点だけです。調査に出た式は、巫条ビルの上空をたくさんの少女が浮遊している光景を目撃します。
一方、同様に巫条ビルの調査をしていた幹也は、巫条ビルに近づいたことを機に昏睡状態に陥ってしまいます。式は幹也の意識を取り戻すべく、巫条ビルの怪奇へ挑みます。
不可思議な怪奇事件、式の能力「直視の魔眼」が発揮された戦闘など、「空の境界」の魅力が堪能できる第1章となっています。
また第1章でありながら、すでに第5章「矛盾螺旋」で登場する物語の黒幕・荒耶宗蓮が関わっていた事件であったことが、後に示されます。
第5章「矛盾螺旋」
(出典:dアニメストア)
1998年10月の物語です。
式が、母親を殺害してしまったと言う少年・臙条巴と親しくなるシーンから始まります。逃げ場を探す巴に、式は自室を隠れ家として提供することにし、二人は短い間共同生活を送ることになります。しかしある日、巴は自身が殺害したはずの母親を街で見かけたと言い出します。同時期に「伽藍の堂」で調査されていた事件とのつながりを感じた式は、巴とともに、彼が家族と住んでいた建物「小川マンション」へ向かいます。
一方、幹也と橙子も小川マンションへの調査に乗り出し、事件の首謀者である魔術師・荒耶宗蓮とその協力者であるコルネリウス・アルバと遭遇します。
この章では、第1章で登場した巫条霧絵、第3章で登場した浅上藤乃、そして第7章で登場する白純里緒3人の能力の覚醒に荒耶宗蓮が関わっていたことが判明します。
「空の境界」のほとんどのエピソードに関わる最大の敵・荒耶宗蓮との決着をつけるとても重要な章となっています。
第6章「忘却録音」
(出典:dアニメストア)
1999年1月の物語です。この章のみ、幹也の妹である黒桐鮮花が主人公となっています。
魔術師見習いである鮮花は、師である橙子から、自身の通う学校・礼園女学院で起きた事件の調査を命じられます。それは学院内で流れている「生徒の記憶が妖精に奪われている」という噂についての調査でした。妖精を視ることができない鮮花は、橙子より助手として魔眼を持つ式を連れていくように言われます。恋敵である式と行動することに抵抗を感じながらも、鮮花は調査を開始します。調査を進める中で、鮮花たちは、噂の影にとある生徒と教師が暗躍していることに気づきます。
式が失われていた記憶を取り戻すとともに、鮮花が幹也を慕うようになったきっかけを知ることができるエピソードです。
原作と劇場版アニメで、事件の設定・結末が大きく変更されているエピソードです。
第7章「殺人考察(後)」
(出典:DOGA)
1999年2月の物語です。
ある日突然、式が幹也の前から姿を消します。それとタイミングを合わせるように、4年前の事件(第2章「殺人考察(前)」で起きていた連続殺人事件事件)と似た、連続猟奇殺人事件が発生します。犯人として、式に似た特徴の人物が疑われます。幹也は式の無実を証明するために、殺人事件の捜査を始めます。捜査の中、幹也は高校時代の先輩・白純里緒と再会したことで、この事件の真相へ近づいてしまいます。
荒耶宗蓮の関わった事件、“織”の消滅の真相、式と幹也の関係など、物語の重要な要素のすべてが一つの決着を迎える章です。
終章「空の境界」
(出典:クランクインビデオ)
1999年3月の物語です。
雪の降る夜、幹也は4年前と同じ場所で、『両儀式』に再会することになります。大きな事件は起こらず、式でも、“織”でもない『両儀式』と名乗る女性と、幹也が会話をする場面が大半を占めます。
今までの章では明かされなかった、式の「3つめの人格」に関する事実が明らかになります。また、幹也の考え方について深く描写されているため、この章を読むと幹也への印象が変わります。
「未来福音」
(Yahoo映画)
2章構成になっており、前半「未来福音 Möbius ring」は1998年の8月(第3章「痛覚残留」と第1章「俯瞰風景」の間に起きた出来事です)、後半「未来福音・序 Möbius link」は2010年頃の夏が舞台となっています。
「未来福音 Möbius ring」
1998年8月、式はふとしたことから、未来に起きる出来事を予測できる能力を持つ爆弾魔につけ狙われます。一方幹也は、式との待ち合わせ場所に向かう途中、少し先の未来が見える少女・瀬尾静音に出会います。
「未来福音・序 Möbius link」
2010年頃の夏、絵本作家・瓶倉ミツル(かめくらみつる)は、彼の雇い主の娘・未那(まな)の依頼を受けて夜の街へ乗り出します。
境界式
原作小説では、巫条霧絵、浅上藤乃、白純里緒の3人が荒耶宗蓮と出会ったときの詳細を描いた「境界式」という短編が、収録されています。
劇場版では第4章「伽藍の洞」のラストにて映像化されています。
「1998年」(漫画)
(出典:Amazon)
1998年の物語です。
2008年に同人作品として発表された、武内崇先生による「1998年」というタイトルの漫画が原作のエピソードです。劇場版アニメ「未来福音 extra chorus」として、映像化されています。
以下の3つの短編で構成されています。短編にタイトルはついていません。
01_feline
1998年8月の物語です。幹也が、式に子猫を預ける話です。
式が義手をつけ始めた描写があるので、第3章「痛覚残留」のすぐ後の物語と考えられます
02_daylight
1998年10月の物語です。親友を亡くした礼園女学院の生徒の一人・宮月理々栖(みやつきりりす)が、浅上藤乃に出会う話です。
第5章「矛盾螺旋」と同時期の話と考えられます。
03_say grace
1998年12月の物語です。式と幹也が初詣に向かう話です。
第6章「忘却録音」の直前、鮮花が初めて式に会った直後の物語です。
空の境界は小説原作のアニメ映画
「空の境界」は当初小説として発売されましたが、その人気から多くのメディアミックスがされている作品です。どんな作品が作られたか紹介していきます。
原作小説
(出典:Amazon)
2004年に、講談社ノベルスより上下巻で発売されました。同時に、豪華な箱入りの装丁の「空の境界 限定愛蔵版」が5000部限定で発売されています。
2018年には、「20周年記念版」が発売されています。上下巻の2巻、それに加えエピローグ『未来福音』と劇場版の来場者特典だった『終末録音』を収録した1冊の、全3巻構成です。3冊セットの「初版限定版」が星海社から5000部限定で、通常版が講談社から発売されています。
劇場版アニメ映画
「空の境界」は劇場版アニメとして、13作が公開されました。2007年に第一作「俯瞰風景」が公開され、2013年に最終作「未来福音」が公開されることで完結しています。
制作はアニメ「鬼滅の刃」などを制作したアニメ制作スタジオufotableが担当しています。ufotableは、同じTYPE-MOON作品であるアニメ「Fate/zero」「Fate/unlimited blade works」劇場版アニメ「Fate/Heaven’s feel」も制作しています。
監督やキャラクターデザインが章ごとに変更されているため、作品ごとに評価が分かれている部分もあります。しかし、興行収入は1~7章合計で約3億円を超えるなど高い人気を得ており、本作の世界を存分に映像で味わうことができます。
・第1章 俯瞰風景(2007年公開)
・第2章 殺人考察(前)(2007年公開)
・第3章 痛覚残留(2008年公開)
・第4章 伽藍の洞(2008年公開)
・第5章 矛盾螺旋(2008年公開)
・第6章 忘却録音(2008年公開)
・Remix -Gate of seventh heaven-(2009年公開)
第1章~第6章の内容をダイジェストにまとめた作品です。
・第7章 殺人考察(後)(2009年公開)
・終章/空の境界(2010年公開)
・俯瞰風景3D(2013年公開)
「第1章 俯瞰風景」を3D映像にした作品です。
・未来福音(2013年公開)
同時上映として、同人誌として発売された「空の境界 未来福音」に収録されていた漫画「1998年」3作を映画化した「未来福音 extra chorus」が公開されています。
TV放送版(リメイク作品)
2013年に、テレビ版アニメ(全13回)が放送されました。劇場版の内容を、作中の時系列順に再構成しています。第5章「矛盾螺旋」と第6章「忘却録音」の内容は含まれていないため、全てのエピソードを楽しみたい方には劇場版がおすすめです。。
漫画版
(出典:Amazon)
2011年より星海社の公式WEBサイト「最前線」にて、公式コミカライズ作品『空の境界 the Garden of sinners』がウェブコミックとして連載されています。作画はソーシャルゲーム「Fate/Grand Order」にも参加している天空すふぃあ先生が担当しています。原作の奈須きのこ先生、キャラクター原案の武内崇先生も監修として参加しています。
ドラマCD
(出典:Amazon)
2002年に『ドラマCD 空の境界 俯瞰風景』のタイトルで同人作品として発売されました。第1章「俯瞰風景」をベースに、オリジナルエピソードが追加されています。原作の第一章ではラストにのみ登場した黒桐鮮花の登場シーンが増えているほか、物語の黒幕・荒耶宗蓮の出番が追加されています。
同人誌・同人版
(出典:マンガ倉庫)
2001年コミックマーケットにて、空の境界上巻・下巻の2冊が発行されました。「空の境界」が初めて発表された媒体です。
2008年には、新作「空の境界 未来福音」を発行されました。奈須きのこ先生による書下ろし小説「未来福音」と武内崇による漫画『1998年』3作が収録されています。
新作
新作は現在制作されていません。2013年『劇場版「空の境界」未来福音』公開の際に配布された奈須きのこ先生書き下ろし小説「終末録音」が、最後に発表された作品となります。
空の境界の主題歌・曲・サントラ
「空の境界」の主題歌・曲・サントラを紹介していきます。
劇場版「空の境界」OP・ED
劇場版「空の境界」は、全8章全て主題歌が違います。
全楽曲の制作を梶浦由記さん、ボーカルを3人組音楽ユニットKalafinaが担当しています。梶浦由記さんとKalafinaは、アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」「Fate/zero」などの作品でも共に音楽を担当しています。
第一章 俯瞰風景 エンディングテーマ「oblivious」
第二章 殺人考察(前) エンディングテーマ「君が光に変えて行く」
第三章 痛覚残留 エンディングテーマ「傷跡」
第四章 伽藍の洞 エンディングテーマ「ARIA」
第五章 矛盾螺旋 エンディングテーマ「sprinter」
第六章 忘却録音 エンディングテーマ「fairytale」
(当楽曲のみ、梶浦由記さんに加え、奈須きのこ先生が作詞を担当しています)
第七章 殺人考察(後) エンディングテーマ「seventh heaven」
終章/空の境界 エンディングテーマ(カバー)「snow falling」
空の境界 Remix -Gate of seventh heaven- 挿入歌「overture」「oblivious」
梶浦さんは、主題歌とともに作中の音楽も担当しています。
サウンドトラック(OST)
(出典:Amazon)
現在までにサウンドトラックは7枚発売されていますが、今購入するならベストアルバム『the Garden of sinners-劇場版「空の境界」音楽集-』がおすすめです。
・『oblivious』
『第一章』から『第三章』の主題歌を収録しています。初回生産限定盤も同時発売されました。
・『Re/oblivious』
『oblivious』のリミックスミニアルバムです。完全生産限定盤となっています。
・『sprinter/ARIA』
『第四章』と『第五章』の主題歌とobliviousのインストゥルメンタルを収録しています。初回生産限定盤も同時発売されました。
・『fairytale』
『第六章』の主題歌とsprinterのインストゥルメンタルを収録しています。初回生産限定盤も同時発売されました。
・『Seventh Heaven』
『第一章』から『第七章』の主題歌を収録しています。初回仕様の期間生産限定盤も同時発売されました。
・『Magia』
通常盤・初回盤のカップリングに、イメージソング「snow falling」を収録しています。
・『the Garden of sinners-劇場版「空の境界」音楽集-』
『第一章』から『終章』までの劇中曲を、2枚組のアルバムに再編して収録しています。全18曲、収録時間136分の「ベスト&リアレンジアルバム」と呼ばれています。
空の境界の登場人物・キャラクター
「空の境界」に登場する、個性豊かなキャラクターを紹介していきます。
CVは注釈がなければ劇場版アニメのものです。
黒桐幹也 CV:鈴村健一・喜多村英梨(幼少期)/伊藤健太郎(ドラマCD版のみ)
(出典:wikiwiki)
黒桐幹也(こくとうみきや)は、本作の主人公・両儀式の高校時代のクラスメイトです。
高校卒業後は、式と一緒に通う予定だった大学にそのまま進学します。しかし蒼崎橙子の作る人形に魅了され、橙子の事務所「伽藍の堂」で働くために大学を中退しています。
「物・人を探す」才能に非常に長けており、どんなに複雑な事情のあるものでもすぐに見つけることができます。一晩で30世帯分の人間の経歴を調べ上げたり、東京から秋田へ行き、会ったことのない人間から目的の情報を聞いて一日で帰ってこれるほどです。
橙子の事務所に入社できたのも、結界を張って隠されている橙子の事務所へ簡単にたどり着いたことが理由です。
その能力によって橙子から「探偵向き」とも評されます。同じ橙子から「洞察力が足りない」と指摘されたり、周りの女性からの好意に気づかなかったりするので、本格的に仕事にするには難しいと思われます。
「普通」の青年
穏やかで優しい性格であり、「普通」「一般」を形にしたような青年です。しかしそれは、彼が「特別でいるよりも、普通のままがいい」と、自分自身で選択した結果のものです。第7章「殺人考察(後)」では、白純里緒に「特別になれる」と仲間になるよう強要されたときも、「楽しそうじゃない」「特別なんていやだ」と強く断っています。
そのためか本作中に多い「普通でいたかったのに特別な存在になってしまった」人間から、非常に好かれやすい存在となっています。
作中から推測できる範囲では、両儀式、黒桐鮮花、浅上藤乃、瀬尾静音が幹也に好意を抱いており、奈須きのこ先生によると白純里緒も幹也に惹かれていたということです。どの人物も普通ではない特別な能力を持っています。
左目
(出典:キャラペディア)
第7章「殺人考察(後)」で、白純里緒によって左目を傷つけられてしまいます。
以後左目の視力を失っており、前髪を長く伸ばして左目を隠しています。
式との関係
16歳の時に初めて両儀式と出会って以降、彼女に強く惹かれるようになります。式が昏睡状態に陥っている2年の間も、欠かさず見舞いにいっていました。目覚めた後も、直接事件に関わることは少ないですが、彼女のそばにいて支え続けています。
式へ好意を抱いている割に、式からの好意にはあまり気づいていない様子です。
第7章「殺人考察(後)」での事件の解決から10年後が舞台となるエピソード「未来福音」では、式との間に一人娘「両儀未那(マナ)」をもうけています。
特別な能力を持たない人物ですが、式に大きな影響を与えた存在です。
両儀式 CV:坂本真綾/川上とも子(ドラマCD版のみ)
(出典:Twitter)
両儀式(りょうぎしき)は、本作の主人公です。
手にしたナイフ、和服に赤いジャケットを羽織った姿が特徴の少女です。
男性口調で話す冷めた性格の少女ですが、不器用ながらも少女らしい行動をすることもあります。
高校入学時に黒桐幹也と出会い親しくなりますが、ある事故にあい、2年間昏睡状態に陥ります。昏睡状態から目覚めたあとは、自らが生きていることへの実感を得るために、異能の力を持つ存在との戦いに飛び込んでいくことになります。
幹也に好意を抱いていますが、不器用なので素直に好意を伝えることは少ないです。
目覚めた後に高校へ復学していますが、あまり真面目には通っていないようです。
両儀式は以下の記事で紹介しています。
多重人格“式”と“織”
式は多重人格者であり、心に女性人格の“式”と男性人格の“織”を持っていました。
しかし、第2章「殺人考察(前)」のラストに遭遇した事故で“織”を失います。男性口調で話すのは消えてしまった“織”を補うためです。
終章では、さらに「3つめの人格」を持つことが明らかになります。
「直視の魔眼」
2年間の昏睡状態の中で「」に触れたことで式が手に入れた能力です。
モノの「死」を線の形で見ることができる能力で、その線をなぞって斬ると、対象の物体や生き物は壊れ、死を迎えます。
生き物や物体だけでなく、概念や霊体、病気の「死」まで見ることができます。
またものごとを「視る」力が強くなっているので、霊体や妖精を見ることもできます。
10年後
本編終了後から約10年後のエピソード「未来福音」では、両儀家の当主となり、幹也との間に一人娘「両儀未那(マナ)」が生まれています。
義手
式は第3章「痛覚残留」での浅上藤乃との戦いによって、左腕を失っています。
それ以降のエピソードでは、蒼崎橙子が作ってくれた義手を装着しています。
左腕の義手には、中に予備のナイフが仕込まれているほか、霊体を掴むことができる能力があります。
蒼崎橙子 CV:本田貴子/井上喜久子(ドラマCD版のみ)
(出典:Twitter)
蒼崎橙子(あおざきとうこ)は、幹也の勤める建築デザイン事務所「伽藍の堂」の社長です。一流の人形作家としての顔も持っています。一方で凄腕の魔術師という一面もあり、作中で起こる怪奇・魔術の解説も担当しています。
一流の人形作家であることから、作中では、式の左手の義手や自身の武器である使い魔を作製した描写があります。本分の人形を作る技術は、もはや「橙子と寸分違わぬ」人形を作れる域にまで達しています。
眼鏡をつけ外しすることで、意図的に人格を変えることができます。
蒼崎橙子は以下の記事で解説しています。
「傷んだ赤色(スカー・レッド)」
魔術師として非常に高い能力を持っており、魔術協会から最高位の魔術師の称号として「赤」を授けられています。
しかし本当に欲しかった称号である「青」をすでに自身の妹にとられていたこと、欲していたわけではないのに「赤」の称号を手に入れたことから、彼女を「傷んだ赤色(スカー・レッド)」と揶揄する者もいます。
橙子は、自分を直接「傷んだ赤色(スカー・レッド)」と呼んだ者は「例外なくぶち殺している」(第5章「矛盾螺旋」)と言っています。
第5章「矛盾螺旋」に登場する荒耶、コルネリウスとは魔術協会での同期で、以前は親しい間柄でした。
黒桐鮮花 CV:藤村歩/田村ゆかり(ドラマCD版のみ)
(出典:wikiwiki)
黒桐鮮花(こくとうあざか)は、黒桐幹也の妹です。現在は全寮制女学校「礼園女学院」に通っています。
実の兄である幹也を一人の男性として愛しており、様々なアプローチをしています。
そのため、幹也が慕っている式のことをライバル視しています。
式に対抗する力を得るため、蒼崎橙子に弟子入りして、魔術を学んでいます。「発火」の魔術が唯一にして最大の得意魔術です。
黒桐鮮花は以下の記事で解説しています。
秋巳大輔 CV:東地宏樹/うえだゆうじ(ドラマCD版のみ)
(出典:wikiwiki)
秋巳大輔(あきみだいすけ)は、視庁捜査一課で働く刑事です。
幹也の親族で、観布子市で起こる怪奇事件の捜査情報を教えてくれる貴重な人物です。
蒼崎橙子とも情報交換をし合う関係です。
浅上藤乃 CV:能登麻美子
(出典:wikiwiki)
浅上藤乃(あさがみふじの)は、全寮制女学校「礼園女学院」に通う少女です。第3章「痛覚残留」に登場します。幹也の妹・鮮花の友人でもあります。
穏やかな性格の美少女ですが、自身に起こった悲劇により、能力「歪曲」が発現してしまいます。
浅上藤乃は以下の記事で解説しています。
白純里緒(先輩) CV:保志総一朗
(出典:wikiwiki)
白純里緒(しらずみりお)は、幹也の高校時代の先輩です。第7章「殺人考察(後)」に登場します。
第2章「殺人考察(前)」で起きた連続通り魔事件の真犯人です。第7章「殺人考察(後)」では、起源覚醒者を増やすために特殊な覚醒剤を作製し、広めるとともに、第2章「殺人考察(前)」のときのように再び殺人を繰り返しています。
式に好意を抱いており、式への執着のせいか、自身の容姿を彼女に似せています。
物語の終盤、式と幹也を捕えて仲間に引き入れようとしますが、幹也に拒否されたことで怒り、幹也をひどく傷つけます。これがきっかけで式を激昂させ、彼女に殺害されることになります。白純里緒の殺人が、式が作中で犯した唯一の殺人となりました。
実は第2章「殺人考察(前)」で既に登場しています。そのときは名前は出てこず、「先輩」とだけクレジットされています。
原作者の奈須きのこ先生は、彼は性同一性障害を持っており、本当は式ではなく式の中の別人格“織”や幹也の方に惹かれていたと語っています。
臙条巴 CV:柿原徹也・五十嵐裕美(幼少時)
(出典:wikiwiki)
臙条巴(えんじょうともえ)は、第5章「矛盾螺旋」に登場するキャラクターです。第5章において、幹也の代わりに式のパートナー的役割をつとめています。
家族の事情と生活苦から高校を中退し、フリーターとして働いていましたが、母親を殺害してしまいます。行き場を失い街をさまよっていた時に式と出会い、一時期共同生活を送っていました。
第5章「矛盾螺旋」の舞台である「小川マンション」で行われていた荒耶宗蓮の実験から逃れたことをきっかけに、事件のカギを握る存在となります。
式に好意を抱いており、彼が物語の黒幕・荒耶宗蓮に立ち向かったことで、式が窮地を脱する機会を作ることになりました。
荒耶宗蓮 CV:中田譲治
(出典:wikiwiki)
荒耶宗蓮(あらやそうれん)は、物語の黒幕的存在である魔術師です。第5章「矛盾螺旋」で初登場しますが、第1章「矛盾螺旋」第3章「痛覚残留」第2・7章「殺人考察(前・後)」で起こる事件にも関わっています。
黒髪に黒いコートを着用しており、威圧感とミステリアスさを感じさせます。
以前は台密の僧として活動していましたが、戦争などで垣間見た人の性に絶望し、全ての魔術師が目標とする「根源の渦」への到達に執着するようになります。
「根源の渦」への到達のために小川マンションで行っていた実験「相克スル螺旋」が、第5章「矛盾螺旋」で起こる事件のはじまりとなりました。
橙子、コルネリウスとは、協会での同期で、以前は親しい間柄でした。
一度は式を圧倒し、捕えてしまうほどの力の持ち主です。しかし、巴の活躍により復活した式に敗北します。最期は自身の敗北を認めないまま、次世代での復活に望みを託して消え去りました。
コルネリウス・アルバ CV:遊佐浩二
(出典:TMちゃんねる)
コルネリウス・アルバは、蒼崎橙子と対立する魔術師です。
長く伸ばした金髪におかっぱの前髪、全身赤色の服装など、特徴的な外見の人物です。
橙子、荒耶とは、協会での同期で、以前は親しい間柄でした。
非常に才能・実力のある魔術師で、第5章「矛盾螺旋」で行われていた荒耶宗蓮の実験「相克スル螺旋」で使用されていた技術は、コルネリウスの考えだしたものです。
非常にプライドの高い性格で、自身より才能のある橙子のことを逆恨みしています。
一度は橙子を倒しますが、橙子の隠し持っていた技術には対応しきれず、凄惨な最期を迎えることになります。
黄路美沙夜 CV:水樹奈々
(出典:wikiwiki)
黄路美沙夜(おうじみさや)は、鮮花たちの通う礼園女学院の生徒です。鮮花の2年上の先輩で、生徒会長を務めています。第6章「忘却録音」に登場します。
資産家の養女であり、学園内では理事長よりも大きい発言力を持っています。
第6章「忘却録音」で起こる事件の影で暗躍し、妖精を使役して鮮花と式の前に立ちふさがります。
瀬尾静音 CV:井口裕香
(出典:wikiwiki)
瀬尾静音(せおしずね)は、エピソード「未来福音」で、幹也が出会う少女です。
性格・容姿などは一般的な少女ですが、「未来予測」の能力の持ち主で、数日や数か月先、あるいは1年以上先の未来を左目で見ることができます。強力な能力ですが、本人は使いこなすことができずに戸惑っています。
ふとしたことから出会った幹也に淡い好意を抱いています。
鮮花と同じ礼園女学院に通っており、鮮花とは親友の関係です。
空の境界のグッズ
「空の境界」のグッズを、一部紹介していきます。
時計
(出典:Amazon)
2019年に劇場版空の境界とSuperGroupiesのコラボレーションとして、腕時計が発売されました。
式の「直死の魔眼」をイメージした、インダイヤルのブルーが美しい機械式腕時計です。式のジャケットをイメージした赤いレザーバンドも印象的です。
同時に、式の着用している靴をイメージしたブーツもコラボレーション商品として発売されています。
SuperGroupies「空の境界」コラボグッズ公式サイト
https://www.super-groupies.com/title/157
ナイフ
(出典:Amazon)
劇場版「空の境界 第六章 忘却録音」公開時に、式が使用しているナイフを模したペーパーナイフが発売されていました。刀身が約8.8cmと小ぶりながらも、握ると戦う式になった気分を味わえます。
空の境界の名シーン・名セリフ
「空の境界」に登場する、魅力的な名言を紹介していきます。
生きているのなら、神様だって殺してみせる(第3章「痛覚残留」)
(出典:3章)
強大な力を持つ浅上藤乃と対峙した時でも、両儀式の自信は揺るぎません。
彼女の持つ能力「直視の魔眼」の力で、藤乃の持つ能力「歪曲」で起きた現象を切り刻み、いともたやすく破ってしまいます。しまいには、藤乃の持つ病すらも切って治してしまいました。
式の持つ、自身の能力への自信を強く感じさせるセリフです。
劇場版アニメのキャッチコピーにもなっており、まさに式の代名詞とも言える名言です。
私は、お前を犯(ころ)したい(第2章「殺人考察(前)」)
(出典:2章)
幹也と言葉を交わすようになった式は、幹也と一緒にいたいと思うようになります。
しかしそのうち、式は自分には普通の幸福は手に入れられないと痛烈に感じるようになります。式と、式が心の中に持つ別人格“織”は、殺人衝動を持っていたためです。
殺人衝動と自身の望みの間で苦しむ式は、苦しみの原因である幹也に、この言葉を投げかけます。どうにもならない気持ちを、幹也を殺すだけでなく、めちゃくちゃに傷つけることで表に出してしまいたかったのでしょう。
幹也を大切に想う式の、複雑な心を表したセリフです。
ありがとう。君を殺す事なんて、できない。(第7章「殺人考察(後)」)
(出典:7章)
式の別人格“織”が、消える前に幹也へ残した最期の言葉です。
思いつめた式は、ある夜幹也を本当に殺そうと襲い掛かりますが、“織”によって思いとどまります。
“織”の夢は、式が幸せになることだったからです。
式が幸せになるために必要な幹也を殺してしまわないように、“織”は消滅することを選びます。
“織”の気持ちが幹也に伝わることはありませんでしたが、“織”のユメは式によって現実のものとなります。
私は、弱い私を殺す。おまえなんかに両儀式は渡さない(第4章「伽藍の堂」)
(出典:4章)
第4章での式は、自身の別人格“織”を失った喪失感で、サブタイトルの通り心が「がらんどう」になっています。自分が生きることにも興味を失っていました。
しかし、自分が殺されそうになったことで、自分の中にあった「死にたくない」という気持ちに気づきます。“織”も、消えたくて消えたわけではなく、式と幹也を救うために消えたのだと気づいたのです。式は、消えてしまった“織”と引き換えに手に入れた能力「直視の魔眼」を使い、敵を倒します。
弱い自分を捨て、強い両儀式に生まれ変わるという決意がこもったセリフです。
式。君を一生、許(はな)さない (第7章「殺人考察(後)」)
(出典:7章)
幹也を殺したと話す白純里緒を、式は殺害してしまいます。
幹也を殺した白純を許せなかったために犯した罪ですが、式は「殺人をしない」という幹也との約束を破ってしまいました。幹也に合わせる顔がない式ですが、幹也はそんな式の罪を自らが背負うと決めます。
幹也は殺人を犯した式を叱りますが、その様子はとても優しいものでした。
自分のしたことが許せない式と一緒に、式の罪を「許さない」こと。
一生そばにいて一緒に罪を背負い、式を「はなさない」こと。
2つのことを誓うこのセリフは、幹也の深い愛を感じさせます。
いくら正しくても立派でも、死を選ぶのは愚かなんだ(第1章「俯瞰風景」)
(出典:1章)
式に自殺の是非を問われた時の、幹也の言葉です。
彼は、どんなにつらいことがあっても、大きな間違いを犯してしまったときでも、死を選ぶことは正しくないと考えています。幹也自身も自分や人間の弱さを知っているため、死ぬことを選ぶこと自体は否定しません。しかし、死んでしまいたいような事態に陥っても、がんばって生き抜いて、自分のしたことの責任を取り続けることこそ大切だと考えているのです。
幹也の誠実さが端的に表れたセリフとも言えます。
空の境界のイラスト・原画集
空の境界のイラストをまとめました。
(出典:Twitter)
(出典:Amazon)
(出典:Twitter)
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(出典:wallpapersawi)
(出典:pinterest)
(出典:amazon)
(出典:pixiv)
(出典:メルカリ)
(出典:ヤフーオークション)
(出典:ヤフーオークション)
(出典:Pinterest)
(出典:Twitter)
(出典:Pinterest)
原画集
空の境界は原画集も発売されています。
劇場版 空の境界 未来福音 原画集
アニメーションの原画を収録した原画集です。
現在だと絶版になっているのかAmazonだと中古品で8000円です。
ヤフオクなどで3000円で出品されていました。
空の境界 the Garden of sinners 全画集+未来福音 extra chorus
空の境界15周年のすべてが集結した武内崇による画集です。
Amazonから3630円。
まとめ
「空の境界」は、現実を超えた事件を通して、登場人物たちの抱く感情の動きを丁寧に描いた作品です。
例えば、主人公・両儀式は大切な存在だった自身の別人格“織”を失い悲しみにくれます。
しかし悲しみを乗り越え、“織”と共に守りたいと思った相手・黒桐幹也を守るため、自身の能力を使いこなして戦うことを決めます。
大切な人を失うつらさや、誰かを守りたいと思う気持ちは、私たちの心にもあります。
「空の境界」が発表以後長く人気を得ているのは、その独特で濃密な世界観と共に、多くの人に通じる不変のテーマを描いているからではないでしょうか。
皆さんもぜひ、「空の境界」の式と幹也たちの活躍にふれてみてください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。